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いまどきフューチャーフォン

普段遣いのスマホは Z-01K なのですが、これとは別に通話用に RETRO Mode1 というのを使っていました。

一時期キャリアから発売されていたいわゆる「ガラスマ」と違って Android がスマートフォンとして実装されているので 旧来の携帯電話の操作感とスマートフォンのアプリが同居できるというなかなかナイスな機種だったのですが、 最近受話器部分が不調となり、こちらの声は相手に届くのですが相手の声が一切聞こえないという状況になってしまいました。 ハンズフリーモードにすれば通話できなくもないのですが、そこまでして使うのもなぁと思い新しいケータイを買うことにしました。 Z-01Kもスマートフォンなので当然通話は可能なのですが、通話するにはちょっと重い (物理的な意味で)……

で、次のケータイは Nokia 2720 flip にしました。Amazon.co.jp で約 16000 円。発売当時の定価が約 90EUR (11800円くらい) だったので、 まぁ輸入コストを含めてもボッタ値ですな。それでも時間かけて個人輸入してまで稼ぐほどの差額じゃないので買ってしまいましたが。


パッケージは超簡素、透明なケースに本体部分、下の紙箱の部分に説明書と付属品 (USB ケーブル、イヤホン、AC アダプタ) が入っています。 なお AC アダプタは三本歯のやつで日本では使えません。


本体は昔ながらの二つ折り、ボタンも超シンプル。ただ、購入時に確認を忘れていたのですが購入したのは SIM フリーではあるものの 完全なグローバル版ではなく香港向けのいわゆる "polluted" 版でした。まあハードウェア的には同一なので実用面ではなんの問題もないのですが……


SIM カードスロットは nanoSIM が 2 つの DSDS 構成、デュアル SIM の機種は一方が GSM (2G) 専用というのはよくある話なのですが、 この機種の場合はどちらも 4G 使用可能です。ただし 2 つとも挿した場合、4G はどちらか一方でしか使えないのだとか。


初回起動時にシステム言語の選択があります。日本人から見ると一体何語だよってマイナーな言語も選択可能ですが当然ながら日本語はありません。 当たり障りなく英語を選択します。

KaiOS

この機種は OS として KaiOS という、ローエンドのフィーチャーフォン向け OS を搭載しています。 Google も出資しているとかで期待されている…ということにはなっているようですが、実際のところ OS としての品質はかなり糞だと思いました。 率直に言ってドコモが開発しましたと言われても納得できる出来です。 表面的なアプリケーション層だけでも粗がかなり目立つのですが、再現性のないフリーズや画面表示の不整合、強制再起動もしばしば発生して コア部分の作りもかなり怪しいです。

この機種の発売が 2019 年で、初回起動時にアップデートされた OS パッチが 2021/09/29 付だったのでメンテナンスが終了しているわけではないと思うのですが、 3G/4G の通信環境が安定している日本ですらこんな挙動で本来のマーケットである新興国でまともに使えんのかよという気分になりました。


プリインストールのアプリはこんな感じ。これ以外のアプリは 1 枚め右上のストアからインストールできます。 ちなみに WhatsApp や facebook は削除可能ですが、 twitter や 4 枚めに並んでいる各種ゲームは削除できません。謎。 また、待受画面でカーソルキー左を押すと扇形のメニューでアプリを選択、起動できるランチャーが表示されるのですが、 実はこのランチャーは facebook アプリの一部らしく facebook を削除すると使えなくなります。意味不明すぎる。

ついでにいうと facebook アプリを削除したらフリーズして再起動しても着信履歴やらショートカットキーが効かなくなったので 購入初日に早速ファクトリーリセットしました。


アプリのデータ通信は一般的なスマホと同様、APN を設定すれば日本のキャリアの SIM でも使えるようになります。 ただし、スマートフォンの場合は大抵の機種で APN を 1 回設定するだけですが、この機種の場合は データ、MMS、A-GPS、テザリング、IMS の APN を個別に設定する必要があります。 検出したネットワークキャリアによって国を判別しているのか、日本非対応の機種のはずなのですが日本向けのプリセットがいくつか現れます。 海外のキャリアの場合は MMS やテザリング用の APN が別設定になってたりするんでしょうかね。

日本の SIM の場合は殆どの場合全て同じ設定になるのですが、意味不明なのが定義済みの APN 情報が上記の用途別に別管理されているところ。 上の日本向けキャリアの APN はデータ通信用の設定ですが、それ以外の APN 設定では見えません。 プリセット以外の格安 SIM を使う場合なんかは各用途ごとに 1 個 1 個設定しなければいけません。 省略時はデータ通信用の APN 設定が参照されるのかと思ったのですが、そんな事はないようです。

というか設定情報を個別に持ったらその分ストレージも無駄遣いになるだろうに、何を思ってこんな仕様にしたんでしょうかね。

連絡先の情報は Google アカウントがあればそこから同期、またはインポート可能です。 なので Android を使っている人は殆どそのまま移行できます。

ただしここで注意が必要で、Google アカウントを登録して連絡先を同期した場合、内部的には同期されているのですが 画面上は更新されていないため設定後に Contacts を見ても連絡先が全く登録されていないように見えます。 ここで慌てて Contacts から Google アカウントからのインポートを行ってしまうと インポートした連絡先と同期した連絡先が両方表示されて同じ連絡先が2件ずつ表示されるという羽目になります。 同期された連絡先を確認するには端末を再起動します。

さらに罠なのが、Google アカウントの連絡先に画像を設定している場合、 インポートした連絡先に対してのみ画像が反映されるので「アイコンがない方がローカルにインポートされたほうだな?」と削除すると Google アカウント上の連絡先が削除されてしまうという残念なことになります。

ていうか非同期処理で UI が更新されないなんて駄目なアプリあるあるだと思うんですが。テストとかしてないんでしょうか。

ちなみに日本市場を想定していないので日本語入力の IME は実装されておらず、当然ながら日本語入力の方法はありませんが フォントは CJK を含めた汎用のフォントがインストールされているようで Google をはじめ日本語表示自体は問題なく可能です。 日本語以外のテキスト入力も困難なので、基本的にブラウザは無いものと考えたほうが良さそうですが。

音声通話について

データ通信については APN の設定が必要ですが、音声通話は SIM を挿せば特に設定なく使えます。 ただし、格安 SIM 固有の現象のようですが、発信は可能なのですが着信が不可能という現象が発生するようです。 この場合は Mobile Network の設定で通信形式を 3G/2G に、ネットワークキャリアの自動検出を無効にして NTT DOCOMO (ここは自分の使っている NVMO のネットワークキャリア) を設定することで着信可能になります。 しかしそれでも Device Information の自端末の電話番号は取得できませんでした (Unknown になる)。

着信時も VoLTE を使うようにすればいけるはずなのですが、そもそも私が使っている b-mobile はドコモ系の VoLTE に対応していないらしい?? しかし 3G で通話ということは停波までのカウントダウンが既に始まっているということです。 これは高いおもちゃになりそうな予感が……

この機種と同じくらいの時期に発売されたバナナフォンこと Nokia 8110 4G は 映画「マトリックス」劇中で使用されていた機種 (2作目からはなぜかサムスンになりましたが) のリメイクとして日本でも話題になった事があって その機種もこれと同じく KaiOS が搭載されているのですが、当時飛びついた人々は無事に使えたんでしょうかね ??