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ZTE Axon M

Surface Duo を買おうと思ったのですが、予想外に高価だったので諦めて代わりに悔し紛れに今使ってる Z-01K こと Axon M についてレビューを書くことにしました。 さすがに 1000 ドルは超えないだろうと思っていたのですが、1499 ドルて、16 万円て。

プロセッサは Snapdragon821 でメモリ 4GB のストレージ 64GB。 そもそもこの機種でハイエンドゲームをバリバリやるような阿呆はいないでしょうが、 当時 10 万近い端末に価格不相応なローエンドのスペックは指摘されていましたね。 ストレージ 64GB は当時のミドル級ではさほど珍しくないサイズですが、デフォルトの Android 7 から 8 にアップデートすると Android のシステム部分だけで 25GB ほど食われるので、これまた値段不相応なローエンドスペックになってしまします。 データ領域に関しては MicroSD に保存するアプリならなんとかなるのですが、今の Android は SD カードにアプリをインストールできないのでゲーム機として使ってる人にはどうしようもないですね。

電池はまぁ普通に使ってれば 1 日持つ程度ですが、なんか FPS とかバリバリやっても 5 分くらいは持つんじゃないですかね、知らんけど。 発熱はふたつ折りにした内側が熱源になるので結構こもります。普通は多少熱くなっても次に使うときまでには十分冷えるものですが、 動画見たりゲームやったりする時は少しでも冷やせるように開いて片画面使用で遊ぶのが無難でしょう。 形状から想像できる通り、NFC や無線給電も当然非対応。ここらへんも当時は値段不相応と叩かれる錦の御旗になってましたね。

最大の特徴は 2 枚の 5.2 インチディスプレイで、通常時は山折り二つ折りの両面ディスプレイになり片面だけを常用します。 開いた状態だと大きい1画面、別々の2画面、2画面をミラーリングの選択になるのですが、 大きい1画面とはいうものの今までの二画面型端末と同様中央にベゼルがあるので中央に線が入ると差し支えがあるようなアプリには向きません。 電子書籍で見開き表示に対応してるならいい感じになるんじゃないですかね。 アプリケーションとしては左右、または上下に 50% : 50% でレイアウトされた UI を持つものなら問題なく使用できるはずです。


文字だけの電子書籍の例。太宰治「人間失格」を青空文庫から頑張ってepubに変換しました。


漫画の例。ÖYSTER「ウムルとタウィル」我らは死の天使!


過去の二画面端末では両画面を使えるアプリケーションに制限があったり挙動がおかしくなったりという問題が多々あったのですが、 現在の Android では OS 標準の機能として複数画面がサポートされているので、両方の画面で問題なく別々のアプリを起動することが出来ます。 ただし、Android の、というか Activity (画面表示) の仕組みの制約から両方の画面で同一のアプリを起動することは出来ません。 Chrome のように複数画面の API に対応したアプリであれば両方の画面で別々のタブを表示するこような使い方ができるのですが、 複数画面非対応の通常のアプリでは一方の画面で起動したアプリをもう一方でも起動しようとすると、元の画面の方は閉じてしまいます。 以前は Intent もこの制約を受けて「共有」で Google Drive や OneDrive を開いたときにアプリが閉じてしまってたような気がするのですが、 今は Intent から開いた画面は別アプリ扱いで動作するようです。

ミラーリングは Λ 字型にして立てた状態で両側から見られるというのがウリなのですが、これを活用する場面はあまり思い浮かびません。 別々の画面を表示できるなら昔懐かしの海戦ゲームができるのですが。

私が買ったのは残念ながら国際版ではなくドコモ版の Z-01K だったのですが、 買った時点で既に SIM ロックは解除されていたので普通に b-mobile の SIM が使えました。 ただ SIM は問題なく使えるのですが、当然のようにドコモ謹製のゴミアプリ満載でしかもアンインストール不可です。 とはいえ、現在の Android ではアンインストールしなくても無効化してメニュー上から非表示にできるのでいくらかはマシになりました。 d マーケットがただのブラウザのショートカットのくせに無効化すら不可にされているのは本当に意味不明ですが。 ドコモ社内ではスマホですごろくやったり無添加いちじくを買える機能が災害時対策キットアプリよりも重要な位置づけにあるんでしょうか。

まぁしかしただインストールされてるだけなら邪魔なだけでいいのですが、 アプリケーションからアクセスするデバイスの権限設定がなぜかドコモ製の実装で上書きされていて しかも設定には d アカウントが必須という最悪のゴミクズ仕様です。 d アカウントを作成して常時ログインしていないと Maps で現在地表示すら出来ないという意味不明な仕様ですよ。

ちなみにこの機種、画面の外部出力は Miracast、MHL、有線の外部出力のいずれも対応していません。 ちょっと検索したところでは内部的に機能としては生きてるようで Activity を直接叩いてキャストに成功した人もいるようなのですが、 真似してみたもののうまく行きませんでした。最近のアップデートで消されたんだろうか。 さらに調べてみるとどうも海外版の Axon M は Miracast に対応しているようで、ドコモ版のみ殺されているようです。

ドコモ的には専用ディスプレイアダプタを繋いだときだけ有効化して出力できるようにしたかったんでしょうが、 結局アダプタは出なかったので野望は抱いたものの実現するだけの技術力がなかったようです。 かといって汎用の出力に軌道修正しようにも昨今の流行りに便乗して Type-C にしたせいで MHL には対応できない、 かといって金をケチって USB 2.0 にしたせいで Alternate Mode も実装できないという無様なんでしょうな。

最大限擁護するとすれば、SoC 自体は External Display をサポートしているのですが、 これを 2 画面目の制御に固定で割り当てているためにキャストを実装できなかったという可能性はあります。 これより後に出た LG の ThinQ シリーズも外部ディスプレイ出力時はサブディスプレイを外したところに USB ケーブルを挿して HDMI 出力するという仕様ですし。 ただ Miracast の場合はプライマリディスプレイの内容をそのまま出力することも可能なので、これは関係ない気がしますが。

そういえばこの機種について ZTE にインタビューした記事 2画面スマホ「AXON M」の反響と今後、ZTEキーパーソンに聞く によると 二画面シリーズを継続開発するつもりで M2 も開発中という話でしたが、絶好調経済制裁中なので発売されることは永遠にないでしょうね。 ドコモとの共同開発についてもちらっと触れられていますが、 「ドコモの人間がクソの役にも立たなかったので結局協力体制を AT&T に切り替えた」というのを最大限顔を潰さないように答えているのは流石だと思いました。 グーグルやクアルコムは「最終的には」というものの調整面で絶対協力を仰がざるを得ないとは思いますが、 元々キャリアと共同開発していたプロジェクトで他所のキャリアに話を持っていくのはよっぽどだったんだと思いますよ。