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超映画を見た

先日、近所の映画館で旧作を1000円で観られるデーをやっていたので観てきたデーしてきました。 といっても観てきたのは前に観ようと思っていて結局終わってしまっていた二本だけなんですが。 前から2列目に座ってもスクリーン全体が見渡せるというホームシアターかよ!ってくらいの狭い映画館だったのですが、 豪勢なシネコンばかりじゃなくたまにはこういう映画館もいいものだ。 そういえばレイトショーで観た「.hack Trilogy」もこういう小っさい映画館で立ち見だったのを思い出した。

超高速!参勤交代

一年間の参勤交代をようやく終えて帰ってきた弱小藩、悪の家老に突然再度の参勤交代を明示られ、 金も時間もないが知恵を出して参勤交代する、というストーリーで始まるコメディタッチな映画ですが、 終始ギャグかと思いきや派手なアクションもあってちょっと意外。

部下の藩士たちが冒頭の武術の稽古シーンでやたらと派手に暴れてるので、武人気取りのヘッポコかと思いきや 隠密衆と竹光でやりあっててほんとに強えぇ!?なのも意外でしたが、 終盤、真剣に持ち替え爆破アクション引っ提げてのアサルト大名行列は馬鹿馬鹿しく気分爽快でした。 というか半分公儀の仕業とはいえ江戸の町を破壊してしまったけどいいのかアレ(笑)

ギャグについても無理に小ネタをぶっこむのではなくて真面目なシーンなんだけどおかしい、というのが良かったです。 もはや手詰まりで腹を切ろうと思ったが竹光なので死んで詫びることすらできない、というのはちょっと泣けた。

しかしながら、終わり悪けりゃ全て悪しというか、オチは蛇足でなんだかなぁと思いました。 結局将軍様が諸悪の根源じゃねえか!とかサラっと生き返ってる人がいるんですけど!?とか。

とはいえ、派手なアクションとシリアスにしても暗くしないノリは楽しく見られたのでとても満足でした。

HK 変態仮面

変態仮面といえば、昔ジャンプでやってたアレです。 「クロス アウッ (脱衣)!」「フオォォォォォ!!」「それは私のおいなりさんだ」などなど、 強烈なセリフを覚えている当時ジャンプ読者だった中年の方々は多いのではないでしょうか。 今ころになってなんで?とは思いましたが、あろうことか実写映画化したのが2013年。

前評判通り、実写でありながら見事な再現っぷりの変態仮面や、特撮の使いどころを大いに間違ってる気がするアクションは素晴らしかったです。 変態じゃない時の狂介がやる事なす事ことごとく駄目すぎるのと変態仮面の変態ぶりのコントラストが合わさってより一層素晴らしい。

その一方、中盤から出てきた悪の組織というかムロツヨシ?さんの持ちネタか何かなんですかね? 延々クソ寒いコントやられて苦行だったんですが。 変態の刺客と戦ってるあたりも身内ウケのバラエティ番組みたいな臭いがプンプンしてつらい。 子供のころに大好きだった「仮面ノリダー」も今見返すとこんなんなのかな…とふと思って一層つらくなった。 終盤のロボなんかはもうどの点が面白いのか監督に説明してほしいレベルのつまらなさで何が何だか。

でも偽変態仮面とのタイマンは面白かったです。変態ではなくアクションが。

というか常識人の中で一人だけ変態でしかも強い、というのが変態仮面の面白いところなのに何でこんな事になったんですかね。 作品のブレーンとしてよく挙げられる小栗旬さんはこんなんで納得したんでしょうか。

ボクは坊さん。

これは2015年公開の新作映画です。糸井重里さんのサイトで連載されていた、現職のお坊さんのエッセイが原作です。

映画では登場人物はフィクションで、そこに原作エッセイのエピソードを載せていくという構成なんですが、 坊さんグッズの数々に唖然としたり突然玄関に熊を置いてみたり (これは原作の白川密成さん宅に実際に置いてあるものだそう。ただ映画ではクマの像を買ったエピソードが省略されてるので、映画だけだとアホの子みたいに見えて悲しい…) 坊さんの野球チームがあったりと、お寺は堅苦しいだけの世界じゃない、という雰囲気がよく伝わってくると思いました。 ゆるいエピソードと同時に檀家の会合で終始委縮してたり、演仏堂 (舞台となった栄福寺に実在する建物) の建立を責められたりと、 お寺ならではの割と胃が痛いエピソードも織り込んでくるのがうまい。

あと高野山の居酒屋で普通に刺身や唐揚げを食べてるのはいいのかよ!?というのはツッコミ所だと思います。

そんなお寺の雰囲気を見せるのはとても巧いのに、お話についてはウンザリするようなクソ脚本でした。 パンフレットの監督インタビューを読んだ感じ、監督のオファーが来た時点で脚本がもう出来ていたように見えるのですが、 他所の企画でボツになったのを使い回してんじゃねえのかって気がしてしょうがないですよ。

幼馴染(女)が出産時に脈絡もなく植物人間になって、その夫、絵にかいたようなチンピラのトラック運転手が逆ギレしてフェードアウトするのはまだいいとして、 この理不尽を幼馴染(男)に仏教の教えを交えて語るシーンはう〜ん…?となりました。それ夫に対して語るべきことじゃないんですかね? というか夫の言い分「俺にどうしろっていうんだ、お前らが俺の立場だったら同じこと言えるのか」に対して答えを出してないというか、 説得力のある答えが出せないからフェードアウトさせたという脚本の都合丸わかりなのが駄目すぎる。

脚本の都合といえば、幼馴染(女)の父親をアル中設定にしたのも子供を寺で預かるという展開にしたいからなんでしょうね。

サラリーマン生活がうまくいかなくて引きこもりになってしまった高野山大学の元同級生を 密教ってのはポジティブなもんなんだよ!と引っ張り出しに行くところは坊さんらしさと若者のムチャクチャっぷりが同居してて面白かったんですけどねぇ。

公式サイトによると脚本の人は栄福寺で密着取材して書き上げた、ということですが、原作者のお寺に密着取材までしてこれかよ、という感じでした。

しかし早朝のお寺の厳かな雰囲気や府頭山から見渡す今治の街と海の風景、青空の下で葬列が進む田舎道など、 決して珍しい風景ではないけど美しい、そこに行きたくなるような映像はとても良いもので、こういうのは邦画ならではだと思いました。